名作童話劇場 4




「…どうしたんですか、悟空。落ち着きませんね。」

「…うん。」

「三蔵と悟浄が気になるんでしょう。行ってごらんなさい。まだつまみの一つや二つ、残っていると思いますよ。」

「…食い物のことじゃねーよっ!」

「おや、じゃあ、何が気になるんですか?」

「う…。」

「言えないような事なんですか? 悟空にしては珍しいですねえ。…ところで悟空、その、首のバンソーコーはどうしたんですか?」

「! これはっ!」

「…そんな飛び退るような事ですか? ははあ、どれ、見せてごらんなさい。」

「いいっ! なんでもないっ! …にきびっ、そう、でっかいにきびがっ!!」

「嘘おっしゃい。そんなつるつるのほっぺたをして、首筋ににきびなんかできるもんですか。ほら、つかまえた。」

「わああ、ほんとーになんでもないってば!」

「見ればわかることですよ。どれどれ。…ははあ、これはまた派手にやられましたね。」

「やっ、やだっ、中まで覗き込むなよう!」

「…あーあー、ずいぶん際どい方まで点々と…。三蔵も意地が悪いですねえ。」

「えっっ、どうして三蔵って…、ああっ!」

「なんです、いまさら口なんか押さえて。…まさか気づかれてないとでも思っていたんですか?」

「だって、うう…。」

「見てればわかりますよ。、二人の仲がいい事ぐらい。それに、悟空、声が大きいですからね。」

「えっ、声って…。」

「もっとぉとか、いじわるぅ、もう許してぇとか、壁越しでも筒抜けですよ。」

「だって、…三蔵、しつこいから…、一晩中…。」

「へえ、三蔵はバルカン砲なんだ。いいなあ、一晩中連射なんて。…そうすると悟浄はさしずめ波動砲ですかねえ。チャージに時間がかかって、大きいのを一発撃ったらプシューッて気が抜けるとこなんかも、バッチリですねえ。」

「ハドー…?」

「いえいえ、こっちのこと。…それで悟空、今夜は三蔵とけんかでもしたんですか?」

「けんかはしてないけど、…変な遊びされるから…。」

「変な遊び? 例えばどんな?」

「…狸さんごっことか、…大きな蕪ごっことか…。」

「…ずいぶんユニークな遊びをしているんですねえ。どんなことをするんです?」

「…。」

「おや、耳まで真っ赤だ。可愛いですねえ。悟空は。」

「! 可愛いいうなよッ! こないだは、…縛られて…。」

「縛りですか! へええ、それでそれで?」

「…経文突っ込まれた…。」

「おおお、なかなかやってますねえ! いいなあ、今度、おねだりしてみようかなあ…。」

「?」

「いえ、こっちのこと…。で、それが嫌で今夜は避難してきたんですか?」

「嫌じゃないけど…。」

「嫌じゃないんですか? それじゃどうしたんです?」

「俺ばっかひいひい言わされて…、すぐ泣かされちゃうし…。」

「…悟空はすぐ泣いちゃうんですか?」

「普段は泣かないよっ! だけど、あっちのほう触られたりすると…なんか…。」

「へえ、見てみたいなあ、悟空の泣き顔。」

「?」

「…見ちゃいましょうか。こっそりと。…悟空、さっきのキスマーク、もう一度見せて下さい。」

「えー…、さっき中までじっくり見たじゃないか…。」

「そんな怪しい言葉で誘わないで下さい。…本気になっちゃいますよ。」

「何?」

「いいえ。…知ってますか? キスマークといえども、ほっとくと腐っちゃうことがあるんですよ。」

「え! うそお!」

「嘘なんか言うもんですか。二目と見られない体になったら、三蔵にも見せられないでしょう? だからほら、服を脱いで見せてごらんなさい。」

「う…、うん…。」

「…へえ、悟空、君、意外と色白なんですねえ。手足の小麦色は日焼けなんだ。乳首なんかきれいなピンクで。可愛いですねえ。」

「どこ見てんだよっ! 肝心なとこ、早く見てよっ!」

「ハイハイ、肝心なとこ…ね。…ああ、これは大丈夫。腐ったりしません。…でも、こっちのほうはどうかなあ?」

「そ、そんなほうにはなーい! パンツ放せよっ!」

「おや、強硬ですねえ。…いいんですか、悟空。自分じゃ見えないところに、酷いのがあるかもしれませんよ。」

「う…。」

「もしかして、悟空の大切なところが腐って落ちちゃったりしたら…。」

「わーっっ、わかったっ、見せるっ。見せるからっ、…笑うなよ。」

「…なにもう泣きそうになってるんです。どれどれ。…悟空、どうしたんです、これは。」

「だからぁ、見せたくなかったんだっ!」

「まだ少し残ってる…。こないだ生え揃ったって、悟浄に自慢してたじゃないですか。…これも三蔵が?」

「…それが生えてると、チンチンが育たないって言って…、切られた…。」

「………。」

「なぁにニヤニヤしてんだよう!」

「…そんな顔しなさんな。まったく、独占欲むきだしですねえ、三蔵は。」

「…もうしまうっ!」

「ああ、お待ちなさい。よーく調べてからね。見えないですよ。もっと足を開いて。」

「うう、…スースーするよう。」

「へえ…、こんなところはまだお子様なんだ。ピンクの小菊みたいですねえ。…三蔵も鬼みたいですねえ。こんな小さなところにあんな一物を突っ込んじゃうなんて。…大丈夫なようですよ。こっちのほうにも腐っちゃうようなのはありません。じゃ次は…。」

「ひいぃっ! な、なんで触るんだようっ!」

「ついでですからね、こっちのほうにも異常が無いか調べてあげますよ。おお、元気のいいこと。」

「やっ、やだっ、そんなとこ触らないでよう! ああっ、いやあっ。」

「ふんふん、お稲荷さんもソーセージも、順調に育ってますね。」

「いやだっ、やめてよ、八戒っ!」

「…本当にすぐ泣いちゃうんですねえ。可愛いですよ、悟空。…三蔵が手放せなくなるわけですね。」

「いやっ、もう出ちゃうようっ。あああっ!」

「…うーん、ちょっと早いですねえ。もっと三蔵にみっちり仕込んでもらうといいですよ。」

「酷いよ、八戒…って、なに舐めてんだよっ!」

「ん? 美味しいですよ、悟空の蜜。」

「そ、そんなの舐めちゃダメっ!」

「どうしてです? 舐めちゃいけないんなら、どこかに塗りましょうか。例えば硬い蕾とか。」

「あっ…、やっ…。」

「…見せて下さいよ。ここがどんな風に花開くのか。…いいでしょう?」

「いやだぁっ!! 絶対ダメっっ!!!」

「うぐっ! い、いきなりあごを蹴り上げるとは卑怯な…。」

「こっ、こっちだけは絶対にダメっ、誰にもダメっっ!」

「そんな形相しなくても…。そんなにひくひくしちゃって、我慢できないでしょうに…。」

「ここは三蔵のッ! 三蔵しか触っちゃいけないのッ!!」

「………。」

「ううー…。」

「あーあー、わかりました。涙を拭いて。…まったく素直じゃないんだから。最初から決まってるんじゃありませんか。」

「八戒の手は気持ち悪かった…。さんぞーの手でなきゃ気持ち良くなれないんだよう。」

「…なんか失礼ですねえ。…まあ、いいでしょう。それがわかれば上出来ですよ。さあ、三蔵のところへ行きなさい。」

「うん!」

「…やれやれ、とんだ当て馬でしたねえ。せっかくその気になったのに。…後で悟浄でも引っ掛けて、こっちも一試合やらかすことにしましょうか。三蔵と悟空並みの…うんと濃いやつを。…悟浄がビビらないように、気をつけて手回ししないとダメですねえ。
それにしても…こう連夜続きだと、また出発が遅れてしまいますかねえ。…まあ、いいか。急ぐ旅じゃありませんしねえ。」



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